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家の燃費の話

こんにちは、吉田孝之です。

今回はキャッチコピーの話ではありません。

知り合いの工務店さんから、こんな相談を受けたのです。

「ねぇ、吉田さん、住宅の省エネ基準って知ってる?」

「昨年(2013年)、省エネ基準が改正されたんだけど、どうやってお施主さんに説明したらよいか、相談にのってくれないか」

家の建築には、耐震だけでなく省エネに関する規制もあるようですね。

私は専門家ではないのですが、「省エネ基準」について色々と調べてみたら、面白いことがわかってきました。

まず、省エネ基準って、何だ?

国から家の「省エネ基準」が出されたのは1979年。
この年は第二次オイルショックが起こった年ですね。

「省エネ基準」の狙いは「エネルギーの無駄づかいを減らして石油依存度を下げる」こと。

オイルショックを経験して「エネルギーの無駄づかいを減らそう」という気持ちが高まったんですね。

その後「省エネ基準」は3回改正されました。

改正されるたびに俗称が付けられているようです。

最初の改正(1992年)では「新省エネ基準」、2回目の改正(1999年)では「次世代省エネ基準」となりました。

そして、3回目の改正(2013年)では「改正省エネ基準」と呼ばれているようです。
 

いったい、何が変わったのか?

今回の改正で劇的に変わった点は「家の燃費の良さ」がわかるようになったことです。

家の断熱性能ではなく「家の燃費(ねんぴ)」です。

この「家の燃費」ということについて、少々説明を付け加えておきます。

2回目の改正(1999年)の次世代省エネ基準では、家の断熱性能をモノサシとしていました。

断熱がよい家なら、冷暖房費は安くなりますね。

ただ、断熱がよい家でも、使っている給湯設備や照明機器がエネルギーをじゃんじゃん消費するものであっては、全体でみると「燃費の悪い家」になる危険性があります。

今回の改正の狙いは、設備、機器を含めた住宅全体の省エネ性能を評価することで「燃費の良い家」を増やしていこうというわけです。

住宅全体の省エネ性能、つまり「燃費の良さ」というモノサシができることで、施主は比較検討しやすくなり、住宅事業者も優れた住宅をアピールしやすくなりますね。
 

具体的に、どうやって燃費を表現するのか。

新たな指標として導入されたのが「一次エネルギー消費量」というモノサシです。

一次エネルギー消費量とは、住宅で使うエネルギーを熱量換算した値のことです。

ただし、電気については、電気そのものの熱量ではなく、発電所で投入する化石燃料(石油など)の熱量を用います。

具体的な計算方法はこちらをご覧ください(主に工務店の皆様へ)。

1つ前の「次世代省エネ基準」の課題として、次のようなことがあげられているようです。
◆建物の外皮(壁や窓など)の断熱性のみを評価する基準となっており、省エネ効果の大きい暖冷房、給湯、照明設備などによる取組を評価できない。
◆省エネ効果以外にも、太陽光発電の自家消費について積極的に評価する必要があるのではないか。

そこで、一次エネルギー消費量というモノサシの登場となったようです。

住宅もビルも、建物全体の省エネ性能を評価する基準に一本化し、総合的に評価できるようにしたわけですね。
 

冷暖房以外の消費量はドイツの方が先進!?

こうしたモノサシを採用した背景として注目したいのが「日本の暖房エネルギー消費量は他国より低い傾向にあるが、照明・家電等のためのエネルギー消費量は他国より多い」という点です。

日本の世帯当たりのエネルギー消費量を欧米と比べてみると、暖房エネルギーはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツのわずか1/4。
*この消費量の低さは、もともと全館暖房が当たり前の欧米に比べて、日本では個別暖房の文化があったからともいわれているようです。

ところが、暖房以外のエネルギー消費量を見ると、給湯、照明、家電は、省エネ先進国といわれるドイツと比べて1.5倍以上です。

これまで高断熱・高気密化が注目されていましたが、これからは設備の高効率化や省エネ家電まで視野を広げていく必要があるわけです。

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資料出典:中央環境審議会地球環境部会参考資料

 

家のチラシにも使えそう

「断熱」ではなく「燃費」という表現に変わると、以前にもまして、ピンとくるようになりそうです。

自動車のように「丈夫で、デザインもよくて、乗り心地(住み心地)もよくて、燃費もいい」というふうに、家のチラシに書けるとわかりやすいですね。

この改正省エネ基準ですが、すでに実施されています。

ただ、完全1本化されるのは2015年4月からで、それまでの間は、「次世代省エネ基準」と「改正省エネ基準」の2つが運用されるということです。

もう実施されているわけですから、今すぐ「改正省エネ基準」を採用して、チラシの表現なども研究しておくとよいと思いました。

そのように、相談してくれた工務店さんにもお伝えいたします。

ie-nenpi



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